【計算・節税・実例】オンラインカジノの税金について一挙解説

2024.08.02
2024.09.14

所得を得ると、金額によっては税金の支払い義務が生じます。オンラインカジノの利益についても例外ではありません。オンラインカジノの利益が出て、納税の義務があるのにもかかわらず何もせずにいると、税務署から指摘を受ける可能性があります。今回は、オンラインカジノの税金について知っておいていただきたいことをご紹介します。

[この記事で分かること]

  • オンラインカジノの税金を理解するうえでの前提知識
  • 税金をかけたくない場合にオンラインカジノで稼げる上限額
  • オンラインカジノの税金の計算方法
  • オンラインカジノで発生した税金を払わないままにするリスク
  • オンラインカジノの節税方法
  • オンラインカジノの税金に関して税理士に相談できるのかどうか

目次

オンラインカジノに関わる税金の基礎知識

オンラインカジノの税金について理解するためには、税金そのものに関する基礎知識が求められます。以下では、オンラインカジノに関連した税金について、基本的な知識を解説します。

オンラインカジノに関係する税金

オンラインカジノで出た利益には税金が発生します。税金は課税対象や負担する人によって複数の種類に分けられます。オンラインカジノに関連する代表的な税金が「所得税」と「住民税」です。以下では、これら2つの税金について解説します。

所得税

所得税とは、個人の所得が課税対象となる税金のことです。所得とは、一般的には給与から控除を差し引いた金額として認識されています。実際には、給与だけではなく、さまざまな収入が対象となります。オンラインカジノで獲得した利益も、所得の一種です。

所得税には、高所得者から多くの税金を徴収し、低所得者からは少ない税金を徴収する、という役割があります。そのため、高所得になるほど税率が上がる「累進課税制度」が採用されています。

所得税は、納税者が直接支払う「直接税」の一種です。一般的に、会社員は所得税が引かれた状態で給与を受け取るため、所得税の支払いについて意識する必要はありません。給与所得以外の所得が発生したときのみ、確定申告で税額を計算し、別途支払う義務が生じます。

「オンラインカジノの税金」という際には、一般的に所得税を指します。本記事でも、主に所得税について取り扱います。

住民税

住民税とは、地方自治体のサービスを維持するための経費を、住民が分担して支払う制度のことです。具体的には、自治体の福祉・教育・防災のための費用として使用されています。

住民税は、所得に応じて決まる「所得割」と住民から一律で徴収される「均等割」から構成されています。所得割の税率は10%で、うち6%が「市町村税」として、4%が「道府県民税

」として納付されます。均等割の金額は、自治体によって異なります。

住民税は、所得に応じて毎年決まります。その年に確定した住民税を、6月から翌年の5月にかけて支払うことになります。所得税と同様、会社員の場合は給料から天引きされているため、給与以外の所得がない限りは住民税を別途支払うことはありません。

住民税も所得額の影響を受けるため、オンラインカジノで利益が出れば納税額が増えます。ただし、所得割の税率は10%と決まっているため、それほど複雑な計算は求められません。

オンラインカジノの利益の所得区分

所得税は、所得の性質によって計算方法が異なります。オンラインカジノの利益についてしばしば争点となるのが、「どの所得に分類されるのか」ということです。オンラインカジノの税金については法整備が追いついておらず、さまざまな意見がありますが、現在は「一時所得」、もしくは「雑所得」に分類されるという声が大勢を占めています。以下では、それぞれの所得について解説します。

一時所得

一時所得とは、一時的に発生した所得のことです。営利目的の継続した活動から得られた所得は、一時所得には分類されません。

一時所得の具体例として以下のようなものが挙げられます。

  • 懸賞・福引の賞金・賞品
  • 競輪・競馬など公営ギャンブルの払戻金
  • 生命保険の一時金
  • 損害保険の満期返戻金
  • 法人からの贈与金品

オンラインカジノの利益については、明確な規定はないものの一時所得として分類するケースが一般的です。これは、同じギャンブルである競輪・競馬などの払戻金が一時所得として分類されることが理由となっています。また、カジノという性質上、継続性や安定性は認められず、「一時的な所得」という側面が強いことも理由として挙げられるでしょう。

雑所得

雑所得とは、税法上定められている10種類の所得のいずれにも該当しない所得のことです。取り扱いを明確にするため、税法ではさまざまな所得の分類が設けられていますが、実際にはどの種類にも分類できない所得が発生することがあります。雑所得は、そうした所得の受け皿として設けられている種類です。

雑所得の例として以下のようなものが挙げられます。

  • 公的年金
  • ネットショップからの収入
  • アフィリエイト収入
  • 仮想通貨の価格変動による収入

オンラインカジノの利益は上述のとおり一時所得に分類されますが、雑所得に分類されるかどうかが議論されることがあります。過去には競馬の払戻金が雑所得として認められた判例がありますが、オンラインカジノの利益に関してはまだそうした判例はありません。例外として、オンラインカジノの出入金仮想通貨で行っている場合は、価格変動の利益で雑所得が発生することがあります。

オンラインカジノの課税所得

税金を計算するためには、課税所得を割り出す必要があります。オンラインカジノの課税所得を算出する際は、以下のようなポイントをおさえておきましょう。

オンラインカジノの課税所得の考え方

オンラインカジノの課税所得は、利益から経費を差し引いた金額となります。注意しなければならないのが、負けたベット額に関しては経費にできないということです。勝利したベットのみ、勝利金とベット額の差額が課税所得となります。勝利金が出なかったベットに関しては、税金の計算では参照されません。

例として、1,000円を投じたベットで2,000円の勝利金が出た場合、1,000円が課税対象となります。厳密にいえば、1年でオンラインカジノのプレイ履歴のうち、勝利金が出たベットの合計額とそのベットで獲得した勝利金との差額が課税所得として参照されます。

つまり、オンラインカジノの税金では、負けたベット額を経費にして課税所得を圧迫するようなことはできません。一方、雑所得であれば、利益につながらなかった出費も経費計上できます。オンラインカジノの利益が一時所得か雑所得が議論されることが多いのは、この経費計上により雑所得として処理するメリットが大きいためです。

また、一時所得には控除後の金額を2分の1した額が最終的な課税所得になるというルールがあります。つまり、上記のような勝利金2,000円の場合、控除後の1,000円を2分の1にした額である500円が最終的な課税所得となります。

オンラインカジノの課税所得に適用される控除

税額は課税所得から控除額を差し引いたうえで計算されます。オンラインカジノの利益が該当する一時所得にも、特別控除が適用されます。一時所得の特別控除の額は50万円です。

勝利金からベット額を差し引いた利益が100万円だった場合を想定してみましょう。オンラインカジノの利益は一時所得であるため、ここから50万円の特別控除が差し引かれます。100万円から50万円を引いた50万円を課税所得として、以降税額の計算をしていくことになります。

課税所得が0円であれば、所得税は発生しません。つまり、利益が特別控除の50万円を下回っている場合、オンランカジノの所得税は発生しないことになります。

このほか、所得全体に対して適用される基礎控除があります。最終的な税額は、基礎控除も差し引いて計算する必要があります。

オンラインカジノでいくら稼ぐと税金がかかる?

オンラインカジノをプレイしているのであれば、「税金がかからない範囲で可能な限り遊びたい」という方が多いのではないでしょうか。課税対象になるまで稼ぐと、利益が目減りしてしまうだけではなく確定申告の手間も発生します。税金がかかるラインを知っておくと安心です。以下では、税金なしでオンラインカジノで稼げる額のラインを、シチュエーション別に解説します。

税金なしで稼げるライン①:課税所得48万円まで

給与所得がなく、他の所得がある場合、課税所得が基礎控除の48万円以下であれば税金が発生しません。

雑所得の合計が10万円、オンラインカジノで126万円の利益を獲得したケースを想定してみましょう。

10万円(雑所得)+ (126万円 - 50万円(特別控除))÷2 = 48万円

このように、48万円の課税所得が算出されます。ここからさらに基礎控除の48万円が適用されるため、課税所得は0円になります。したがって、この場合は所得税が発生しません。

オンラインカジノでいくらまで税金なしで稼げるかは、他の所得の額によって異なります。例えば、雑所得の合計が30万円だった場合、計算は以下のように変わります。

30万円(雑所得)+ (126万円 - 50万円(特別控除))÷2 = 68万円

このように、課税所得が基礎控除を超えるため、税金が発生します。非課税にするためには、オンラインカジノの稼ぎを抑えなければなりません。

30万円(雑所得)+ (86万円 - 50万円(特別控除))÷2 = 48万円

この場合は、オンラインカジノの利益が86万円までであれば、非課税となります。他の課税所得によって非課税で稼げる額が変わるため注意しましょう。

税金なしで稼げるライン②:90万円まで

会社員の場合、給与以外の課税所得が20万円以下であれば確定申告が不要となり、追加の税金も発生しません。オンラインカジノ以外には給与所得しかないと考えれば、90万円まで確定申告は不要です。

(90万円 - 50万円(特別控除))÷2 = 20万円

90万円を超える場合は、課税所得が20万円を超え、確定申告の必要性が生じます。また、給与所得、オンラインカジノの利益以外にも所得がある場合は、それらの所得の合計額から課税所得を算出し、20万円に収めるようにしなければなりません。

なお、この90万円のラインはあくまで確定申告が必要になる基準であり、90万円を超えたとしても必ず税金が発生するとは限りません。最終的には48万円の基礎控除が適用されるため、90万円を超えたとしても非課税になる場合があります。

会社員の場合、年末調整があるため自分で確定申告をしたくないという方も多いかもしれません。確定申告の手間をかけたくない場合は、オンラインカジノの利益を90万円以内に収めましょう。

税金なしで稼げるライン③:146万円まで

無職で他の所得がない場合、146万円がオンラインカジノで税金を発生させずに稼げるラインとなります。

(146万円 - 50万円(特別控除))÷2 = 48万円

このように、オンラインカジノの利益のみで税金を計算するため、基礎控除の48万円以下であれば税金は発生しません。

オンラインカジノの税金はいくらかかる?

ここからは、オンラインカジノの税金を実際に計算していきましょう。以下では、税金計算の基本的な式、シチュエーション別の具体的な計算シミュレーションを解説します。

オンラインカジノの税金を計算する基本的な式

オンラインカジノの所得税を計算するための基本的な式を解説します。まずは、課税所得の計算が必要です。

他の所得額 + (オンランカジノの利益 - 50万円(特別控除))÷2 = 課税所得

さらに、基礎控除が適用され、最終的な課税所得が算出されます。

課税所得 - 基礎控除= 最終的な課税所得

なお、基礎控除の額は所得に応じて以下のように決定されます。

所得額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

この最終的な課税所得から、税率と税額控除の額が決まります。平成27年以降設定されている税率と控除額は以下のとおりです。

課税所得税率控除額
1,000~1,949,000円5%0円
1,950,000~3,299,000円10%97,500円
3,300,000~6,949,000円20%427,500円
6,950,000~8,999,000円23%636,000円
9,000,000~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円~45%4,796,000円

最終的な課税所得に応じて決まる税率と控除額を適用し、税額を以下の式から計算します。

最終的な課税所得 × 税率 - 控除額 = 所得税の税額

【ケース別】オンラインカジノの計算シミュレーション

以下では、会社員と無職の場合の所得税を、それぞれシミュレーションしていきます。

会社員・所得収入あり

まずは、会社員で給与所得に加えてオンラインカジノの利益を獲得した場合を想定します。

今回シミュレーションする会社員の給与所得とオンラインカジノの利益は以下のとおりです。

  • 給与所得:500万円
  • オンラインカジノの利益:550万円(50万円のベットで600万円獲得)

一時所得の課税額は以下のとおりです。

((600万円 -  50万円) -  特別控除額(50万円)) ÷2= 250万円

さらに、給与所得には「給与所得控除」が適用されます。令和2年以降、給与所得控除は以下のように設定されています。

収入金額給与所得控除
~1,625,000円550,000円
1,625,001~1,800,000円収入金額 × 40% - 100,000円
1,800,001~3,600,000円収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001~6,600,000円収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001~8,500,000円収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円~1,950,000円

給与所得500万円の場合、給与所得控除の額は以下のとおりです。

500万円 × 20% + 440,000円  = 1,440,000円

給与所得から給与所得控除を差し引き、以下のように課税所得を算出します。

500万円 - 1,440,000円 = 3,560,000円

以上で一時所得と給与所得の課税所得がそれぞれ算出されました。これらから、最終的な課税所得を計算します。

3,560,000円 + 250万  -  48万円(基礎控除) = 5,580,000円

累進課税制度により、課税所得5,580,000円の場合の税率、控除額はそれぞれ20%、427,500円です。これらを適用し、税額を計算します。

5,580,000円 × 20% - 427,500円 = 688,500円

無職・所得収入なし

続いて、給与所得などの所得がなく、オンラインカジノの利益のみを獲得した無職の場合をシミュレーションします。条件は以下のとおりです。

  • オンラインカジノの利益:1,150万円(50万円のベットで1,200万円獲得)

一時所得の課税額を以下のように計算します。

((1,150万円 - 50万円) -  特別控除額(50万円)) ÷ 2= 550万円

ほかに所得がないため、そのまま基礎控除を適用し最終的な課税所得を算出します。

550万  -  48万円(基礎控除) = 5,020,000円

課税所得に応じた税額、控除額を適用し所得税額を計算します。

5,020,000円 × 20% - 427,500円 = 576,500円

オンラインカジノの税金を払わないリスク

オンラインカジノで利益が出ると、金額によっては多額の税金を納めなければならなくなります。「せっかく稼いだのに、税金を払うのは避けたい」と考える方も多いでしょう。しかし、税金を支払わないことには、さまざまなリスクが伴います。以下では、代表的なリスクを紹介します。

加算税の請求

オンラインカジノの税金を未納のまま放置すると、加算税がかかる可能性があります。加算税には過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、不納付加算税の4種類があります。これらの税金の支払いを指示された場合、本来の税額に一定の割合を追加して支払わなければなりません。滞納の期間や、悪質性に応じて、倍率が増加することがあります。

特に無申告加算税と重加算税には注意が必要です。無申告加算税は、申告期限を過ぎて確定申告を行わなかった場合に課され、税額の15~20%が上乗せされます。重加算税は、意図的に利益を隠した場合に課され、税額の35~40%が追加されます。

これらの加算税により、元の納税額が少なくても最終的に大きな金額を支払うことになる可能性があります。また、書類の不備があった場合には過少申告加算税のペナルティが課されることもありますので、確定申告書類の記入は慎重に行う必要があります。

利子税の請求

利子税は、納税期限の延長に伴って課される追加の税金です。税務署が納税申告書を受け取り、延長を認めた場合に発生します。税金を期限内に支払うことが難しい場合は、税務署に支払期限延長の申請をすることができます。ただし、認められた場合でも、延長期間に応じた利子税を支払わなければなりません。

また、利子税とは別に、税金の納付期限を過ぎた場合には延滞税が発生します。この延滞税は、延滞している日数に応じて計算されます。

刑事罰

明らかに故意の場合や犯罪性が認められる場合など、悪質な税金未納については刑事罰の対象となることがあります。過去には、競馬で所得を隠した事例において、実際に刑事罰が科されています。申告していなかった所得が極めて大きい場合などは、刑事罰の対象となる可能性が高いと考えられます。

万が一逮捕されれば、その後の生活に重大な影響が及びます。会社に逮捕の事実を隠しておくことは困難です。会社が逮捕の事実を重く見た場合は、解雇されることも十分に考えられます。家庭を持っている方の場合は、家族に迷惑をかけることも免れません。

オンラインカジノにおいて税金未納で刑事罰が適用された事例は報告されていません。しかし、競馬などのギャンブルに関する判例を考慮すると、同様の事態が発生する可能性はあると考えられます。

オンラインカジノの税金未払いはこんなことからバレる!

どれだけ税金を払いたくないとしても、脱税は厳禁です。税務署は常に国民の脱税行為に目を光らせています。オンラインカジノの場合、以下のような行為から税金の未納が発覚するため、基本的に脱税はできないと考えましょう。

銀行口座への多額の出金

オンラインカジノの税金未納がバレる代表的な例が、銀行口座への出金です。特に、多額の出金があった場合、税務署からの指摘を受ける可能性があります。税務署には、脱税行為を摘発するため、銀行口座の入出金履歴を任意で調査する権利が与えられています。

普段大きな動きのない銀行口座の入出金履歴に多額の入金があれば、イレギュラーな事態だとみなされる可能性があります。オンラインカジノの利益を出金し、税金を支払っていないことを追求されれば、加算税などのペナルティは免れないでしょう。

海外からの送金

海外から国内の銀行口座に送金するタイミングで、脱税が発覚する場合があります。各銀行には、海外口座から100万円以上の送金があった場合、税務署に報告することが義務付けられています。そのため、オンラインカジノの利益を海外口座から100万円以上出金し、そのまま国内の口座に移動した場合は、税務署にバレてしまう可能性が高いといえます。

注意したいのが、オンラインカジノから直接国内の銀行口座に出金すると海外口座からの出金として扱われることがある、という点です。この場合、100万円以上の利益を出金すると、その時点で税務署へ確実にその情報が通達されます。

対策として、小口の出金を繰り返す方法があります。しかし、上述のとおり税務署は脱税を警戒し、個人の銀行口座出金履歴を確認することがあるため、この方法も決して安全とはいえません。

不動産の購入

不動産の購入から、脱税が発覚するケースもあります。収入と不相応と判断されるほどの不動産を購入している場合、「所得を隠しているのでは?」と疑われることがあるのです。

例として、前年の年収が500万円だった会社員が2,000万円の不動産を購入したとします。このケースでは、税務署に「年収に釣り合っていない不自然な取引だ」と思われかねません。所得の出どころを明らかにするように、税務署から質問が来ることが考えられます。

この質問に回答するかどうかは、基本的に任意です。しかし、もし回答を拒否するようなら、さらに強い疑いをかけられることは免れません。もし資金調達の元がオンラインカジノの利益であり、所得を申告していなければ、脱税で訴えられることも十分に考えられるでしょう。

オンラインカジノの税金に関する実例

オンラインカジノの税金に関する判例はあるのでしょうか?オンラインカジノでの税務申告漏れの判例と、公営ギャンブルにおける判例を紹介します。

オンラインカジノの税務申告をしなかった税務署職員の例

2024年6月27日、埼玉県の税務署勤務の20代男性が勤務中のオンラインカジノ利用、および公営ギャンブルの利用により、懲戒処分となる事件が起きました。

男性は、2022年3月から2023年12月にかけて、オンラインカジノでのプレイを少なくとも9万8,000回行っていたことが報告されています。ベット額は2億円以上。収益については、税務申告を行っていませんでした。

本来であれば国民の納税を厳しく律する立場の税務署職員が脱税をしていたことで、大きな話題となりました。国税局はこの事態を重く受け止め、男性に3カ月の停職を言い渡しています。結果として、男性は依願退職したと伝えられています。

刑事告発された容疑は常習賭博ですが、税務申告を行っていなかったことから税金に関する事例といえるでしょう。収益の額については明らかになっていませんが、オンラインカジノのプレイ期間、およびベット額から、相当な額の収益が出ていたと考えられます。

公営ギャンブルに関する判例

公営ギャンブルについては、税金に関して興味深い判例がいくつか出ています。なかでも有名なのが「大阪事件」と「札幌事件」です。

「大阪事件」とは、競馬で獲得した払戻金が雑所得になるか一時所得になるかが争われた裁判のこと。被告人となった男性は、2年間にわたって1億4,000万円にのぼる利益を獲得しています。最終的に、馬券の購入が営利目的であり、継続性・恒常性を有していることが認められ、「払戻金は雑所得に該当する」という判決が出ました。

「札幌事件」も「競馬の払戻金は雑所得か一時所得か」が争点となった裁判です。被告人の男性は、6年間で5億7000万円の利益を競馬で出しています。最高裁では、払戻金が雑所得認定されることになりました。

これらの判例は、「オンラインカジノの利益は雑所得か一時所得か」という論争の基盤にもなっています。上記の2例はギャンブルの利益が雑所得として認められた例です。すなわち、負けた馬券の費用についても経費計上することが認められた例といえます。

しかし、このほかの判例ではほとんどの場合、一時所得認定となっています。オンラインカジノの場合も同様に、雑所得と認定されるための要件である「継続性・恒常性」を満たすことは難しいでしょう。

また、大阪事件については所得を申告していなかったことが裁判のきっかけとなっています。所得がどの種類に分類されるかという問題と、脱税の問題は別です。一時所得になるとしても、雑所得になるとしても、追加徴収分も合わせて税金をしっかりと払う必要があります。

オンラインカジノの税金を払う方法

オンラインカジノの所得を申告せず、税金を未払いのまま放置するのはリスキーです。課税対象となる利益が出た場合は、しっかりと申告しましょう。以下では、オンラインカジノの税金を支払うための具体的な方法を紹介します。

STEP.1:入出金履歴の確認

まずは、オンラインカジノの入出金履歴を確認しましょう。税務申告は1年単位で行うため、前年1月1日から12月31日までのオンラインカジノのベット結果を正確に把握してください。

上述したとおり、オンライカジノの税金計算では負けたベットの額を経費として計上できません。そのため、勝利したベットのみを対処として、勝利金・ベット額を総計します。確定申告での提出義務があるため、収支表としてまとめておきましょう。

この集計作業には、時間がかかることがあります。確定申告に間に合わなければ、追徴課税などのペナルティが発生する可能性があります。確定申告は毎年2月16日から3月15日が期間となるため、年明けには準備を始めるのがおすすめです。日頃から収支を記録しておくと作業が楽になります。

STEP.2:確定申告

続いて、確定申告を行います。確定申告には以下の書類が必要です。

  • 確定申告書類
  • 本人確認書類
  • 所得を証明する書類
  • 各種控除に必要な書類
  • 銀行口座が分かる書類

オンラインカジノの所得を申告する場合は、先にまとめておいた収支表が必要となります。また、会社員の場合は源泉徴収の提出も必要です。ほかにも、前年の医療費が多くかかった場合は、医療費控除を受けるために医療機関の領収書などが求められます。

確定申告は、以下の3つの方法のいずれかで行います。

  • e-Tax
  • 郵送での書類提出
  • 税務署での申告

「e-Tax」はインターネットで確定申告できるサービスであり、時間がない方にとっては便利です。一方、税務署での申告であれば、職員に質問しながら書類を記入できるため間違いがありません。どの方法を選んでも問題ありませんが、確定申告に慣れていない場合は、税務署に足を運んで書類を記入するのが良いでしょう。

確定申告は毎年2月16日から3月15日までです。課税対象となる所得がある場合、申告が1日でも遅れると延滞となります。期限に遅れないように、余裕を持って取り組んでください。

STEP.3:納税

申告によって確定した金額を納税します。納税には以下のような方法があります。

  • 振替納税
  • ATMからの納付
  • クレジットカードでの納付
  • スマートフォンアプリからの納付
  • QRコードでの納付
  • 税務署・金融機関窓口での納付

スマートフォンアプリ・QRコードで納付できるのは30万円以下の税金です。30万円超の税金が発生している場合は、その他の方法を選ぶ必要があります。税務署で確定申告を行った場合は、そのまま窓口で税金を納付できます。

なお、税金の納付期限は確定申告の期限と同様に3月15日までとなります。振替納付の場合のみ、約1カ月後に振替手続きが行われるため、それまで納付の猶予があります。

オンラインカジノでおすすめの税金対策

闇雲にオンラインカジノで利益を出していると、思わぬ税金に苦しむことになります。税金を支払いたくない、あるいは少しでも税金を抑えたい場合は、以下のような方法で対策可能です。

50万円以上利益を出さない

まず紹介するのは、オンラインカジノの利益を50万円までに調整する方法です。上述したとおり、一時所得には50万円の特別控除が適用されます。そのため、50万円を超える利益が出なければ、そもそも税金の支払いについて考える必要がありません。

利益を50万円を超えないように調整するためには、1年の収支を正確に管理しながらプレイすることが求められます。オンラインカジノは運の要素が大きいため、勝敗をコントロールすることは困難です。「ギリギリまで利益を出す」ということは難しいため、50万円を超える利益が現実的になった時点でプレイを止めることが大切です。

実際には、基礎控除があるため利益が50万円を超えた時点で課税が決まるわけではありません。ただし、税金が発生しなくても確定申告が必要になることがあるほか、利益が課税対象かどうか計算する必要性が生じてきます。「税金について考えたくない」「あくまでライトにオンラインカジノを楽しみたい」という方は、50万円のラインを意識しながらオンラインカジノをプレイするのがおすすめです。

50万円以上出金しない

オンラインカジノの税金が発生するタイミングについてはさまざまな意見がありますが、一般的には「銀行に出金した時点で課税される」と考えられています。一時所得の特別控除が50万円であることを踏まえると、銀行への出金額を50万円以下に抑えることでも税金の支払い義務を回避できます。

出金を50万円までに抑え、残りの利益がある場合はオンラインカジノのアカウントに残しておきましょう。プールしておいた資金はベットに使用できるほか、別の機会に出金することもできます。

注意しなければならないのが、「1年の出金の合計額を50万円以下にする」ということです。1回の出金額を50万円以下にすれば良いわけではありません。例として、40万円の出金を1年以内に2回行った場合、出金額は80万円となり、一時所得の特別控除額を超えます。

海外口座に出金する

海外口座にオンラインカジノの利益を出金する節税方法もあります。税務署が調査の対象としているのは国内の口座のみであり、海外の口座は調査対象とならないと考えられているためです。税制上のメリットから、海外の口座を出金先として推奨しているオンラインカジノもあります。

一方で、海外の口座に出金した資金にも国内の税法が適用されるという意見もあります。もし税務署に脱税の容疑をかけられたとすれば、国内の口座だけではなく、海外の口座まで調査されることは十分に考えられるでしょう。そのため、海外の口座に出金する場合も、リスクがあることは認識しておく必要があります。

また、「そもそも開設することが難しい」という海外口座ならではのデメリットもあります。海外口座に入れたままでは決済などに使うのが難しいため、国内の口座に移す方法を別途考えなければなりません。

仮想通貨・オンライン決済サービスに出金する

仮想通貨・オンライン決済サービスの出金であれば、税法適用の対象外となり、出金額にかかわらず税金がかからないと考えられています。多くのオンラインカジノでは、仮想通貨・オンライン決済サービスを出入金の方法として採用しています。

仮想通貨は、投資対象としても一般的です。価格変動の差額で利益を得られます。実際に、オンラインカジノのプレイと並行して仮想通貨投資を行っているプレイヤーは少なくありません。

オンライン決済サービスは、インターネット上のウォレットに資金を出入金できるサービスのことです。ECサイトなどでは、そのまま決済に利用できます。

オンラインカジノの決済方法としては、どちらも出入金の反映が早い点も魅力です。一方、送金・売却・決済・換金などのタイミングで個別に税金が発生するケースがあるため、節税の意識が高い場合はこうしたタイミングについて注意する必要があります。

オンラインカジノの税金に関するよくある質問

税金の仕組みは複雑で、一般の方であれば疑問が多いでしょう。とりわけオンラインカジノの税金については、明らかになっていないこともたくさんあります。以下では、オンラインカジノの税金について多く聞かれる質問と、それぞれへの回答をご紹介します。

Q.オンラインカジノの課税所得となる「利益」とは?

オンラインカジノの課税対象となるのは利益です。利益を元にして、税金がかかるかどうかが判断されます。税金の額についても、利益によって決定されます。この「利益」の定義について明らかにしておきましょう。

オンラインカジノで課税所得となる利益とは、勝利金からベット額を引いた金額を意味します。この際に注意しなければならないのが、勝利金が出なかったベットの額は、差し引くことができないという点です。あくまで、勝利金が出たベットのベット額のみが対象となります。

1年の利益(勝利金 - ベット額)を総計した金額から特別控除の50万円を引き、さらに2分の1した金額がオンラインカジノの課税所得となります。

Q.少しずつ出金すれば税金はかからない?

一時所得は50万円を超えると課税対象となります。このことから、一度の出金が50万円を超えないように、少しずつオンラインカジノの利益を出金すれば税金がかからないと考える方は多いかもしれません。

しかし、少しずつ出金する方法には落とし穴があります。課税所得は1年で計算されるため、一度あたりの出金額が50万円を下回っていたとしても、1年間の出金総額が50万円を超えると課税されるのです。

つまり、オンラインカジノで税金をかけないためには、一度の出金を50万円以下にするのはもちろんのこと、1年間の出金額も50万円を超えないように調整する必要があります。

Q.課税所得がリセットされるタイミングは?

一時所得を含め、所得の計算は1年単位で行われます。正確な期間は、1月1日から12月31日までです。前年の1月1日から12月31日までに発生した所得を、その年の確定申告で申請します。

つまり、12月31日で課税所得はリセットとなります。前年終わりまでのオンラインカジノの利益が特別控除の50万円を超えている場合は、確定申告が必要になる可能性があります。

課税所得の計算期間を4月1日から3月31日までの「年度区切り」として勘違いしている方がいるかもしれません。課税所得の計算は、年度ではなく年始から年末までの単純な1年間を区切りとすることを覚えておきましょう。

オンラインカジノの税金は法整備が遅れている……心配なら税理士に相談を

ここまで解説したオンラインカジノの税金計算・税金対策などは、あくまで現状一般的な知識として普及しているものです。オンラインカジノは比較的新しいサービスであり、国税庁はオンラインカジノの税金の取り扱いを明確にしていません。決済に仮想通貨が絡むと、さらに税金の計算が難しくなるという問題もあります。

クリーンにオンラインカジノをプレイすることを重要視し、税制面への対策を盤石にしたい方にとっては、専門家の力を借りるのがおすすめです。

オンラインカジノの税金問題は税理士に相談可能

税金の専門家といえば、税理士です。確定申告を含め、税金の問題は税理士に相談できます。一方で、「税理士はオンラインカジノの税金に関する相談に対応してくれるのか」と疑問に感じる方は多いかもしれません。

オンラインカジノは現状、賭博に位置づけられ、完全にクリーンとはいえないサービスとして取り扱われています。しかし、この点は納税の義務とは別問題です。オンラインカジノそのものの取り扱いにかかわらず、利益が出ればしかるべき税金を払う必要があります。

税理士は税金の専門家であり、依頼者のオンラインカジノ利用について咎める権利はありません。また、士業の守秘義務の観点から、オンラインカジノを利用している事実を告発するようなことも考えられないでしょう。

実際に、すでに多くの税理士がオンラインカジノの税金に関する相談を受け付けています。オンラインカジノ自体の取り扱いが明確になっていないほか、税法上の取り扱いも今後変わる可能性はありますが、少なくとも税理士に相談することには問題はありません。

オンラインカジノの税金について税理士に相談するメリット・デメリット

オンラインカジノの税金について税理士へ相談することを検討している方に知っておいていただきたいメリットとデメリットを、ご紹介します。

メリット

代表的なメリットは、法律に則った確実な税務処理ができる点です。税金の処理は複雑であり、知識のない方が行うと不備が起こる可能性があります。反面、税理士に依頼すると、正確に処理してくれるため安心です。

加えて、税理士に確定申告を依頼すると通常の書類に加えて、税理士が処理を担当したことを証明する書類が添付されるため、「お墨付き」の状態となります。このことから、申告書類の信頼感が増し、税務調査が入りにくくなると考えられています。

デメリット

主なデメリットとして挙げられるのは、費用です。細かな価格設定は税理士事務所によって異なりますが、一般的な会社員の白色申告の場合は3万円程度が相場となっています。

オンラインカジノの利益が大きければ、誤差といえる出費かもしれません。しかし、利益が少額の場合は、余計な出費をしたくない方も多いでしょう。確実な税務処理を優先するか、費用を抑えることを検討するか、慎重に検討する必要があります。

Stake(ステークカジノ)なら税金の支払いがスムーズで節税も可能

税金を支払いやすく、節税も可能なオンラインカジノをお探しなら、ステークカジノがおすすめです。以下のような特徴から、税金を支払いながらクリーンにオンラインカジノをプレイできます。

仮想通貨への出金に対応

ステークカジノは、ビットコインをはじめとした20種類の仮想通貨への出金に対応しています。銀行口座への直接出金を避けると、課税所得として取り扱われないとされています。そのため、オンラインカジノでは銀行口座以外の出金方法が盛んに利用されていますが、なかでも、出金の反映スピードが速く匿名性の高い仮想通貨が一般的です。

ステークカジノは、対応している仮想通貨の多さから、オンラインカジノプレイヤーの間で高く評価されています。

資金の流れを把握しやすい「金庫」機能

「金庫」は通常のウォレットとは別に設置されている資金の保管場所であり、ほかのオンラインカジノにはないステークカジノ独自の機能です。

節税対策としては、出金予定額のみを金庫にプールしておく方法がおすすめです。オンラインカジノでは、50万円を超える額を出金しなければ課税されません。金庫に出金予定額を移動し、都度確認すれば、予期せぬ課税を防ぐことができます。

過去の損益が分かる「統計」機能

「統計」は、過去の勝敗状況を表示する機能であり、それまでの戦歴を把握するために利用されています。ベット額、および勝利金の額を確認できるため、収支の把握も容易です。確定申告の際は、この統計機能を使って収支表を作ることをおすすめします。課税を避けたい場合は、年間の利益を確認して、特別控除以下に抑えるようにプレイしましょう。

税金を支払ってクリーンにオンラインカジノをプレイするならStake(ステークカジノ)!

オンラインカジノは法的にグレーゾーンな状態が続いています。だからこそプレイヤー側は、少なくとも脱税の疑いをかけられるようなことは避けなければなりません。オンラインカジノの税金に関してはまだ情報が散逸しており、プレイヤーには基本的な税法を正しく理解しておくことが求められます。

また、税金を支払い、クリーンにプレイしていくためには、税金の支払いを意識して設計されているオンラインカジノを選ぶことが大切です。ステークカジノは税金処理のしやすさや節税のしやすさから、多くのプレイヤーに評価されています。ステークカジノで税金を支払いながら、楽しくクリーンにカジノゲームを楽しんでください。

永井 晃
シニアマーケティングマネージャー
永井 晃
ナガイ アキラ
所属:マーケティング戦略部

Betwise Entertainment シニアマーケティングマネージャー
オンラインカジノ業界に15年以上従事し、主に仮想通貨を重点としたマーケティング戦略の策定に携わる。豊富な知識とデータ分析力で、クライアントの成長と業界発展に貢献している。

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